◆8月25日 現場での勉強会開催
請負会社、下請け会社を集めて、工事の内容や設計趣旨を説明する勉強会を開催しました。
1階のピロティ部分への現場事務所等の設置も進んでいます。
請負会社の計画も良好で、細かい部分の設計意図の伝達も順調に進みます。
◆9月2日 現状確認
現状確認を行いました。
柱部分の塗膜が極めて脆弱です。浮きの認められる部分もその他の部分も皮スキでどんどん剥がれてしまいます。
今回はしっかりした塗膜を健全に施すため、躯体や下地の不具合を高精度で補修しておかないと大量の不具合が再発します。
スチール手摺りの埋込部が発錆して、笠木モルタルを押し出しています。一部は剥落しています。下部は人の通行があるため、本当に危ないところでした。
躯体内部に残存するスチール部材を完全に除去しないと早期に再発します。
◆9月2日 植木仮置き場設置
バルコニー内にある植木の仮置き場を設けました。
上段は外部から容易に手が届いてしまうので、足場板で目隠しをするようにしました。
◆9月7日 植木仮置き場 目隠し設置
植木の仮置き場に目隠しをしました。
外からはだいぶ手が届きづらくなりました。
◆9月7日 Uカットシーリング跡(前回工事)
モルタル仕上げの外壁にUカットシーリングが施されています。
シーリング材の状態を確認しました。
◆9月7日 外壁モルタル浮き補修のためのエポキシ樹脂注入跡(前回工事)
前回の大規模修繕工事で、外壁モルタルの浮き補修のためにエポキシ樹脂を注入した跡が確認できます。
注入されたエポキシ樹脂により注入箇所の周囲(写真では上下)に共浮きを生じさせていることが確認できます。
上記同様、エポキシ樹脂注入跡です。
グリスガンでエポキシ樹脂を注入する場合、細心の注意を払わないと大きく共浮きを生じさせます。
◆9月16日 外壁ひび割れ状況確認
外壁に入ったひび割れ部分の一部を斫り出し、内部の状況を確認しました。
この部分、表層に入ったひび割れはモルタルだけでなくコンクリート躯体に貫通していました。
また、ひび割れから左側にはモルタルの浮きが有り、右側には浮きがありませんでした。
上記とは別の部分です。
この部分もコンクリート躯体のひび割れがモルタルと塗膜にひび割れを生じさせているようです。
◆9月16日 ドレンの腐食とベランダ天井漏水の状況確認
ドレンストレーナー部分が腐食しています。
腐食が進行すると下階の天井に雨水が廻ります。
◆10月7日 外壁塗膜剥離状況確認
バタバタしていて更新に間が開きました。
脆弱な既存塗膜の割合が多い柱部分を全面ケレンしています。
これにより、構造上重要な柱に発生している不具合現象がわかりやすく顔を出しました。
◆10月7日 外壁柱に発生した仕上げモルタル浮き部分の内部確認
当住宅はモルタル仕上げとなっており、柱部分には錆汁を伴った多くのひび割れや浮きが発生していました。
前回の大規模修繕工事ではエポキシ樹脂を注入しており、材料を惜しまず使用していることは好ましいのですが、共浮きが多く発生しています。
今回は、「浮き補修=エポキシ注入」とはせず、部分的な斫りにより内部の状況を最大限確認することとしました。
写真の部位では、浮いている範囲の内部を確認すると、鉄筋が錆びていたために周囲を斫ってみました。前回のエポキシ樹脂が確認できます。
外壁ひび割れに顕れた錆汁は、このような鉄筋の発錆である場合もありますが、コンクリートに含まれる成分が原因である場合もあります。
◆10月7日 柱打ち継ぎ状況確認
柱の仕上げモルタルには小さな目地が設けられていましたが、シールされているわけでもなく、内部には特に止水処理もされていないコンクリート躯体の打ち継ぎがありました。
今回は、この打ち継ぎに達して有効に止水する目地を新設することとしました。
この目地を設けるために仕上げモルタルにカッターを入れて斫り出すと、モルタル裏が湿っていました。
柱両側に見える梁は、柱側壁側の切り付けから雨水が入り込むと、その裏の無防備な打ち継ぎに水が回り込む恐れが高いようです。
◆10月7日 バルコニー手摺 水平荷重試験他試験施工
バルコニースチール手摺りはアルミ製に更新します。
メーカーの協力を得て、試験施工として施した新規手摺りに水平荷重試験を行いました。結果は合格です。
手摺り端部の触れ止め用ボルトが仕上げモルタルとの界面に当たってしまい、その後の不具合を避けるために位置を変更することとしました。
やはり試験施工は重要です。
◆10月14日 錆汁を伴ったひび割れを有するモルタルの浮き(鉄筋の発錆)
この建物は、現在主流である「打ち放しに塗装」仕上げでなく、モルタル仕上げとなっています。また、柱などの構造体の部分に多くのひび割れが生じており、そこから錆汁が流出しています。(左の写真は、既存塗膜を除去した後の状況です)
この錆汁汚れは、塗料成分やセメント成分によるものが多いという各種報告があるようですが、鉄筋発錆によるものが含まれていたら大変危険だと考え、施工者の協力を得て、全面を詳細に調査することとしました。
作業工区全域にわたる非破壊調査・破壊調査の結果、やはり一部に鉄筋の発錆が確認できました。
仕上げモルタルの浮きやひび割れからの錆汁流出が鉄筋発錆の影響であるという例は想定よりも少なく、取り越し苦労という感じですが、少々安心しました。しかし、これらをモルタル浮き補修としてエポキシを注入していたら早期に再発し、最悪の場合、モルタルが落下して事故になっていたかもしれません。
錆汁を伴ったひび割れを有するモルタルの浮きは、単純に注入補修してはならないという良い例でしょう。
◆10月14日 「ワンバルコニー仕上げまで」
監理体制や提供して頂ける場所の都合などがありますが、このように試験施工でバルコニー一カ所を最終段階まで実際に施工し、問題点の洗い出しや施工レベル確認を行うことがあります。
ここでは、他のバルコニーと同形状の集会所のバルコニーを利用して最終工程まで仕上げました。
同時にこれは、施工見本として居住者の皆様に提示することができるというメリットもあります。
◆10月14日 鉄部塗装の試験施工(案)
この建物の屋上のスチール手摺りは塗膜が痛み、発錆が著しい状況です。
管理組合様の許可が得られれば、塗料メーカー各社の材料を募って同じ条件での長期間にわたる試験施工を実施しようと計画しています。
今、10社程度を目処にメーカー・材料を選定し、一年ごとの追跡調査が出来ないかと検討しています。
◆10月20日 バルコニー鼻先上部の木片
この建物は、外壁がモルタル仕上げになっているのですが、定規で使ったと思われる木片があちこち大量に残されていて困ります。
今回は躯体の保護性を向上させるために、防水性の高い塗装を施しますので、塗膜の裏に雨水を導く可能性の高い異物は、丹念に取り除く必要があります。
◆10月21日 梁側面上部の木片
全く、どこへ行っても木片だらけで参ります。
それでも丹念に取り除き続けなければなりません。
◆10月22日 バルコニー手摺り壁、床版の大欠損
この手の大欠損が大量にあります。
38年ものですから、鉄筋は当然丸鋼です。
このような大修理は今回で完結させなければなりません。
◆10月22日 バルコニー界壁の大欠損
躯体精度のばらつきが多く、このような空洞も見られます。
◆10月22日 柱のひび割れからの錆汁汚れ
柱ひび割れからの錆汁汚れも各所に見られます。
紆余曲折有りましたが、鉄筋の錆については比較的高い精度で発見できるようになってきました。
「鉄筋の錆を逃すな!徹底処理しろ!」が、今回も重要なテーマです。
◆10月26日 厚いモルタルと薄い躯体
バルコニー鼻先立ち上がりの躯体、薄すぎます。更新するアルミ手摺りの足を固定するためのアンカー穴(この段階では、アンカー穴にゴミが入らないように白いバックアップ材で養生しています)外部側定着部分が完全に露出してしまっています。
これに対処するため、アルミ手摺り支柱位置と固定方法を変更しました。
前回大規模修繕工事におけるエポキシ樹脂注入跡と木片が確認できます。
過去の遺物が多く発掘され、飽きさせません。
◆10月29日 顔を出すもの
外壁から顔を出した通気トップです。
腐食も著しく、ケレンして断面欠損が酷すぎるようなら交換が必要になります。
◆11月1日 バルコニー雨水排水管の詰まり補修
バルコニー雨水排水菅が詰まっていました。
天井からの漏水に及んでいるようです。
配管を破壊して中を見てみるとゴミだらけで、上部からのサヤ菅は激しく腐食していました。長期間の水分の存在を思わせます。
補修に際してはゴミを完全に除去、サヤ管の穴あきを確認して十分なケレンと入念な防食を施した上で配管を復旧しました。
また、排水管にゴミを流すと大きなトラブルと多大な費用につながるということをお住まいの方々にPRすることも重要です。
◆11月 4日 バルコニー鼻先の木片とモルタルと雨水の入り口(と夕焼け)
バルコニー鼻先欠損部から断面を見ると、またも木片の模様がモルタルに残っています。上部のモルタルは雨仕舞いの観点からは少々慎重さが要求される荒れようです。
暗いな・・・と思い外を見ると、綺麗な夕焼けです。まだ5時なのに日が短くなりました。
◆12月7日 大学研究室による現場見学会(早稲田大学小松幸夫研究室の皆さん)
建物の維持保全の重要性が益々高まっていることから、大学でもこれに関する研究が進んでいるようです。
当社では国土交通省によるプロジェクトに参画したり、多方面にわたる見学会を積極的に開催したりすることにより業界の底上げに貢献しています。
本日の見学会は、早稲田大学理工学部建築学科小松研究室の皆さんです。
研究発表などの忙しい時期でしょうが、彼らの真っ直ぐな眼を前にすると、我々実務者も真剣に取り組まなければと心が引き締まります。
「教えているつもりが教えられる」
このように良い回転が連鎖すれば、多くのことが良い方向へ向いていきます。
《早稲田大学 建築学科 小松幸夫研究室 》
http://www.waseda.jp/sem-ykom/
◆12月16日 首都圏マンション管理士会による現場見学会(城東支部の皆さん)
本日の見学会は首都圏マンション管理士会城東支部の皆さんです。
実務者の方々ですので、各々の経験からリアルな質問が相次ぎます。
マンションの管理に対して居住者の立場から助言するのがマンション管理士です。我々も多くの管理組合と接しますが、本当に人に左右されますし、管理運営状況は多様です。集合住宅のストックが増え続け、そこに住まう方が多くなっている状況では、マンション管理士はその重要性を増すでしょう。
《財団法人 首都圏マンション管理士会 城東支部》
http://www.kanrisi.org/joutou/
◆現場見学会について
上記にあるように、この現場では管理組合様のご厚意により現場見学会を開催しております。
この作業所では居住者の皆様、管理組合様、そして施工業者と監理者である当社が全力を挙げて建物の再生に努力しております。
見学会では、外部からのご指摘をいただくことで「現場の質」を向上させることを第一の目的としております。
このような趣旨にご賛同頂ける組織・団体であれば見学会をお受け致します。(ただし、予め管理組合様による許可が必要です。また、時期・日程については現場の都合により調整を要します。)
当社ホームページにある「お問い合わせ先」から「北砂四丁目住宅見学会についての問い合わせ」として、組織・団体の概要と連絡窓口についてお知らせください。