関連調査業務

マンション修繕総合コンサルタントのみならず、個別の問題解決に経験豊富なスタッフが調査・診断の上、最適なご提案をいたします。


築2年目点検

新築マンションの「構造耐力上主要な部分等」の隠れた瑕疵については、引き渡しを受けた時から10年間は売主に瑕疵担保責任があります(品確法88条1項)。
しかし、「構造耐力上主要な部分等」以外の部分については、引き渡しの時から2年を過ぎると売主に瑕疵担保責任を追求できなくなるのが一般的です。
この2年目の節目にあたって、専門の技術者の点検を受けて隠れた瑕疵を発見し、売主の責任で修繕してもらうのが賢明です。 アワーブレーンでは、築後2年目点検を行っております。


耐震・構造・補強設計業務

アワーブレーンでは構造安全性の観点から、耐震診断・耐震設計・耐震改修に関するご相談を承っております。


新耐震設計法の考え方

  • 地震時の建物への作用をできるだけ、実際に近いかたちでとらえ、それに応じて必要になる強度・粘り強さなどの設計を行う。
  • 建物は構造部材の損傷を受けながらも、地震のエネルギーをうまく吸収し、全体として崩壊を防ぐことが可能となる。
  • 1次設計と2次設計の2段階で検討
  • 1次設計と2次設計では、柱や梁などの寸法を仮定し作用する力が部材の許容内に納まるようにする。
  • 2次設計では、建物の保有する耐力を算定して、ねばり強さを考慮した設計をする。

耐震診断の考え方

新耐震設計法で設計される以前の建物を対象にしており、すでに建っている建物の保有耐力やねばり強さを評価するもので、基本的には、新耐震設計法と同じ考え方である。


耐震診断・耐震改修・施工までの流れ

  • 既存の建物が想定される地震に対する耐震安全性を検討

  • 診断結果に基づいて、必要な耐震要素の配置計画を検討・立案

  • 耐震改修計画をもとに、配置・部材収まりに関する詳細な設計
  • 改修計画の認定に基づく審査が必要な場合がある(構造安全性・工事計画などの改修工法に対する技術評価・・・耐震補強技術・工法の採用提案など)

  • 既存建物としての特殊性を考慮した施工計画の検討と実施

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漏水診断

アワーブレーン環境設計では漏水箇所や状態に応じて、自社開発の漏水診断機器等を使用する事により、いかなる漏水でも箇所の発見・修復を実現しております。



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結露診断

目的・概要

表

気密性が高く暖房設備の整った建物では、室内外の温度差によって壁表面に結露を生じることが多く、この湿気や結露に起因してカビが発生する。これに伴い、カビの胞子による小児や老人のぜんそく、カビを食うダニや発癌性のカビの発生、畳、壁紙、天井ボード等の室内仕上げの汚染等が多発して社会的問題としても取り上げられている。

現在、結露を防止するために断熱工法が行われているが、これだけでは目的を達するには限度がある。人が生活することによって発生する水蒸気は、夜間に室温が下がって露点温度に達すると、室内の壁、天井、床に結露水として付着してしみこむ。昼間留守となる住居では、日中太陽の輻射熱や外気温の上昇に伴い、水分が室内の床、壁、天井から室内の空気中に蒸発する。日没となり外気温が降下するに伴って、室温は下がり露点温度に達すると再び室内の床、壁、天井に結露水として付着してしみこむことが繰り返される。このため昼間留守となる住居の室内は、帰宅後換気しても十分湿気を排出することは出来ない。

また、燃焼部開放型の暖房器等を使用した場合も、ガスや石油の燃焼にともなって発生する水蒸気が室内空気を加湿する。(露点温度:空気中の水蒸気が不飽和の時、この空気の温度を次第に下げてゆくとある温度で飽和状態に達し、更に下げると水蒸気の一部が凝縮して物体の表面に露を結ぶ。此の初めて露を結ぶ温度をいう。)

ビルの空調に伴う暖気も加湿されて送られている。この水蒸気も、室温の低下にともない床、壁、天井、サッシ等にしみ込んだり、表面結露したりする。こうした状態のもとでは、室内に水分を生じることを防止することは非常に困難であるといえる。


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使用機器

温湿度計
温湿度計

水分量
水分量

微風速計
微風速計

熱電対温度計
熱電対温度計

データーロガー
データーロガー

風速計
風速計


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換気方式

台所・浴室・トイレの換気方式

図

  1. 住戸単位の換気方式:換気扇で直接屋外へ排気するのもこの方式である。最も単純であるが、風の影響を受けやすい。
  2. 風圧が作用すれば負圧側へ排気される方式:常に安定した排気が行える。独立形と数住戸を共用するものとがある。はり貫通やダクトの隠ぺいを要す。
  3. 各住戸の排気を共用ダクトへ強制排出する方式:ダクト内が各住戸に対し正圧となるのでその気密性、枝ダクトのシャッター機能が生命である。
  4. 屋上ファンで各住戸の排気を吸引する方式:最も容量の大きいファンを要す。ファンの騒音・震動処理、同時使用数に応じた容量制御、上部・下部住戸の排気量バランスなどが重要。
  5. 各住戸から共用ダクトへ強制排気し、屋上ファンはダクト内を負圧に維持する方式:機能的には安定している。各戸ファンと屋上ファンの連動機構が必要。
  6. 多目的シャフトを用いる方式:大型のSEダクトの一種である。燃焼機器の給排気強制排気がなされ、給排水パイプシャフトも兼ねる。シャフトの構造的気密性、貫通部の気密性、排気停止ダクトでの逆流防止機能が肝要である。給・排水管表面での凝縮腐食、台所排気汚染物の燃焼機器熱交換部への付着などの問題も考えられる。断面積を大きくとれるので点検・修理も容易であるし、平面計画上の利点も多い。
    ※風に換気扇が負け、室内で発生した水蒸気を含んだ空気と排気できず結露の原因となっている。また、共用ダクト方式では、防火ダンパーや屋上換気扇と各住戸の換気扇の連動が悪く水蒸気を含んだ空気を排気できないケースが見られる。

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空気線図

空気線図


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調査項目

建物に生じる結露は、「表面結露」と「内部結露」に分けられる。表面結露は、室内の湿った空気が飽和温度以下の壁・天井等に触れたときに水蒸気が水滴に変わって付着する現象である。
内部結露とは、室内外の水蒸気圧の差によって壁体、屋根等の中を通過する水蒸気が、低温部分でせき止められる現象をいう。
既存建物で実施する結露調査は、結露生成の原因をつきとめ防止対策をたてるために行うもので、現場での実測調査は結露が発生している状態の時を選んで実施すると能率がよい。
対象建物での結露発生のメカニズムを把握するための調査項目としては、

  1. 対象建物の概要(平面図、立面図、断面図、各部詳細図等)
  2. 対象建物の床・壁・天井・屋根など各構成部位の構造、材料、寸法、熱伝導度等の把握
  3. 建物内外の温湿度、風向、風速、気流分布
  4. 壁、床、天井等の表面および内部の温湿度分布
  5. 水蒸気発生源の把握

温湿度計
断熱材の下地コンクリート表層に結露やカビの被害が生じている。

水分量
換気口内にある防虫網が目詰りして換気ができない。

微風速計
浴室換気不足により天井内に結露やカビが発生している。


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調査方法

結露調査にあたっては、調査の目的・程度に応じてつぎの測定器を組み合わせて実施する。測定は、結露の認められる時期に、24時間以上継続して行うことを原則とする。
電子式の測定器ではセンサーで得た各種の計測情報をデータロガに収録し、コンピュータで処理することもできる。また、温度計、湿度計、水分計等各種の測定器を組み込んでセットにしたものも提供されている。その他、調査には次の機器・方法等も併用されている。


内視鏡

調査対象の壁面等に、径10mm程度の孔をあけ、対象物の実際の構造や湿潤状態を内視鏡で観察するとともに、湿度、水分等の測定にあてる。


赤外線映像装置

赤外線映像装置を用いて、断熱材の効果、熱橋(ヒートブリッジ)の有無表面温度分布等を調査する。


炭酸ガスによる換気回数の調査

対象室内に炭酸ガスを放出し、その濃度低下状況を測定することにより該当室の換気回数を調査する。この方法で換気ファンの能力評価をすることもできる。(JIS A1406 屋内換気量測定方法(炭酸ガス法)の準用)


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絶対湿度

空気の飽和容積絶対湿度

絶対湿度


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風の通り道

風の通り道


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室内の水分量の変化から結露を予測

結露については、漏水か結露かの判断に迷うことが多い。室内側の壁が濡れるなどの現象があったとき、どちらとも断言はできず、推定しかできない。
散水試験などの漏水調査が実施できる場合は、漏水の有無を確認し、無い場合は結露と結論づけることができる。しかし、調査が実施できないケースや、結露の原因究明調査が必要なケースもある。
結露については、原因が一つでないケースが多く、調査は難しい。原因が一つであれば、その原因かどうかの調査を行えば解決するが、結露は複合原因の場合が多く、なかなかそうはいかない。また、内装の解体を伴うこともあるが、なかなか即、解体できるケースは少ない。 水分量調査は結露の発生と、室内の水分量との因果関係を調査し、結露の原因を探る調査である。
調査は、外部と対象の部屋、同一住戸のその他の部屋などで温度と相対湿度を測定する。その結果から水分量(絶対湿度)を算出して、その変化の対比によって原因を探る。例えば、水分量の上昇と降雨や外気の湿度の上昇との因果関係を確認し、水分量上昇の発生時間などから日常生活に起因する可能性があるかなど、様々な角度から推定していく。

グラフ


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赤外線建物診断

各診断方法の比較

旧建設省(国土交通省)からの「剥落による災害防止のためのタイル外壁モルタル塗り外壁診断指針」によると@外観目視法 A打診法 B反発法 C赤外線装置法が示されているが、これらを比較表にしてみる。

各診断方法

調査診断に当たっては、それぞれの診断方法の長所、短所を理解したうえで、総合的に見落としのない調査することが必要である。


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赤外線装置法の原理

建物外壁の場合、外装材の剥離部(空気層がある)と健全部(密着している)とでは、熱伝導の違いにより、太陽の直達日射、天空輻射などの気象変化に伴なって、外装材の表面温度に差が生じる。この表面温度の差が生じることを利用して、熱画像として映し出されたモニター画像の表面温度分布データを記録することにより、外装材の剥離分布や外装故障を診断することができる。

赤外線装置法の原理

太陽熱


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基準点確認システム

実際の赤外線画像は、気象条件等により健全部と故障部の温度が同じになったり、健全部より高かった故障部の温度が低くなったりする。 したがつて、あらゆる条件、部位の基準点をあらかじめ設けておく必要がある。 とらえた赤外線画像に現実の外装タイル剥離部または、モルタル浮部故障部と一致しているかどうか確認しながら調査を行う必要がある。

基準点確認システム


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赤外線装置による診断の流れ

赤外線装置による診断の流れ


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赤外線装置法の特徴

赤外線装置法の長所・短所

長所

  • 建物を壊さない
  • 非接触で浮きや欠損を診断できる
  • 大面積の情報を短時間で取り込むことができる
  • 結果を自動記録でき、視覚情報として得ることができる
  • 精度と調査コストのバランスが良い

短所

  • 診断精度が環境条件、建物条件に左右される
  • 周辺環境からの影や反射などの影響を受ける
  • 浮きしろを伴わない剥離の検出は困難である
  • 建物の冷暖房機器の影響を受ける
  • 赤外線工学、伝達に関する基礎知識、画像判読の経験を必要とする

得意な仕上げ・苦手な仕上げ

得意な仕上げ

  • モルタル仕上げ(特に、リシン吹付けなど光沢のない塗装)
  • 濃色で光沢のないタイル(れんがタイルなど)
  • 単色のタイル

苦手な仕上げ

  • 光沢のある仕上げ材、厚みのある仕上げ材
  • 淡色で光沢のあるタイル
  • 複数色のタイル
  • 深目地
  • スクラッチタイル

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赤外線装置法による適用範囲

  1. 外壁タイル仕上げモルタルの剥離・浮き
  2. コンクリートのクラック・内部空隔、漏水
  3. 漏水:屋上露出防水の破断箇所や雨水浸入部
  4. 結露:壁体の内部温度分布・原因
  5. カビ発生域:分布・原因
  6. 冷凍・冷蔵庫の熱損失取得
  7. 断熱状況の診断:ヒートブリッジ
  8. 建築設備・電気設備・プラントの熱損失・異常加熱
  9. 冷暖房空調域バランス・室内環境状況
  10. 埋蔵管の位置・破損
  11. 材料性能・外装工事の改修後の診断
  12. その他表面温度の測定を利用した非破壊調査

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現地作業のポイント

  1. 赤外線画像撮影の基本
    • 対象物に対して、できるだけ正面の位置から撮影する
    • 太陽の反射を受けないような時機に撮影する
    • 一画面の撮影範囲を広くしすぎないように撮影する
    • 取得画像の判断をしながら撮影する
    • 機械的に撮影しない
    • 熱画像と同じ位置の可視画像を撮影する
    • 打診法と照合する(打診により条件の異なる外壁に基準点を設け熱画像と照合して測定可能か不可か判断してデータを取り込む。)
  2. 撮影時の測定環境
    • 2.1 気象条件による特長
      • 風が強いと、風の影響を受け精度が落ちる
      • 曇天の時外壁全体と故障部分の温度差が不明瞭
      • 雨天・降雨時で壁面が濡れていると測定不可能
      • 冬期の晴天時は、外壁全体と故障部の温度差が明瞭
      • 夏季の夜間に温度が下がらない場合で、外壁全体と故障部の温度差が不明瞭
    • 2.2 近隣に対する影響
      • 赤外線検知器の赤外線センサーは、受動型なので、近隣に対して影響はない
    • 2.3 調査建物の高さ及び距離
      • 建物の高さにより表面温度に差が出る。
        (タイル剥離部・モルタル浮き部表面温度が異なる。)
      • 5cm角の故障部…23mまで温度差を確認可
        10cm角の故障部…45mまで温度差を確認可
        (赤外線望遠レンズを使用)
    • 2.4 北面・厚物などの調査
      • 北面は季節により太陽の直達日射が得られない
      • 厚物タイルなどは、受熱量が多くないと昇温しないので、調査は太陽高度の低い季節を選ぶ
      • 健全部と剥離部の差が出ない場合は、その気象条件では測定不能と判断し、吊足場による打診調査が必要

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診断事例

診断事例


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